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第36話

僕たちにはやはり情報が足りない。冒険してレベルを上げ強くなることも重要だが、今はそれ以上に情報が必要だった。

僕はオルカの友人、リンダと再び連絡を取った。意識不明になる前にオルカが行っていたという調査について知りたかったのだ。
前回聞いたときには詳しくないと断られてしまった。

そこで、あらためて、情報屋としてのリンダに仕事を頼んだ。結構な額のGPゴールドピースを要求されたが文句はなかった。

思ったよりも返事は早く来た。

オルカが興味を持っていたというワードを彼女に教えてもらい、僕とブラックローズはそのエリアへ向かった。

そこは一面真っ白な空間だった。

地平線が見えるほど広々として何もない場所。

リンダによると、ここで何か声が聞こえるという話だったが……僕たちが言ったときには何も聞こえなかった。どれだけ待ってもどんなに耳をすませても聞こえてくるのは静寂ばかりだった。

代わりに思いがけない闖入者ちんにゅうしゃがあった。もっとも向こうにしてみれば、闖入者は僕たちの方なのかもしれない。

バルムンクが転送してきて、僕たちに気付き、ぎょっとしたように目を見開いた。が、すぐに、いつものしかめ面になってそっぽを向いた。

「またお前たちか。いい加減に目障りだ」

僕もバルムンクを見て一瞬身構えてしまったが、ここで彼と会えたのはむしろ都合がいいと思い直した。

「言い争うつもりはない」

と、僕は言った。

「そんなことより『The World』でうごめいている、別の目的を持った何かって、何のことか教えてほしい」

以前にリンダが言っていたことだ。オルカの相棒だというバルムンクなら、そのことを知っているはずだ。

「お前たちには関係がない」

「あるさ」

僕はきっぱりと言った。たぶん僕は世界で一番とまではいかなくても五、六番目くらいにはそれに関係のある人間なんじゃないかと思う。

「そうか。では、言い直そう」

バルムンクは僕をにらみつけて言った。

「お前たちに教えるつもりはない。何度も言ったはずだ。ハッカーは信用できないとな」

なんということだ、と僕は心の中でため息をついた。

ハッカーのヘルバには質問を無視され、バルムンクにはハッカー扱いされて毛嫌いされている。

「ねえ、僕たちは同じ目的のはずだろう? オルカを助けたいってバルムンクも思ってるんだろう」

オルカの名前を出したとき、バルムンクの態度にほんの少し反応があったように思った。だがそれが何なのか見極める前にバルムンクは僕たちに背を向けた。

「お前たちに荒らされてはかなわん。いいか、余計なことはするな!」

 

(続く)