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第6話

ハッカー


インターネットは本来、参加者を「信頼」することで成り立っている。電子メールが正しく届くのも、それぞれのネットワークが正しく行動してくれることを前提にしている。

転送されてきたメールを途中で開封したり勝手に改ざんしたりすることは、技術的に可能であり、また極めて容易である。

しかし、「そのような行為をとる者はいない」という信頼から、電子メールのシステムは作られている。

もしこの信頼関係が崩れれば、インターネットのシステムはたちまたのうちに機能しなくなってしまう。

インターネットは本来、アメリカが敵国ソ連に対抗するために作られた技術である。

そのため、当初は身内だけをつなぐことを考えられていた。

敵が入ってくることはそもそも想定していないのだ。



ハッカー(またはクラッカー。ここでは同義語とする)とは、自分の知識を悪用して他人のコンピュータに侵入し、システムに「いたずら」する連中のことをいう。

現在、ハッカーはその動機別におおよそ六つのタイプに分類される。

善悪に関係なく、困難なハッキングにチャレンジすることに喜びを見出す「愉快犯」。

インターネットの未開拓領域に新たなビジネスチャンスを狙う「市場支配」。

国などに雇われ、業務としてハッキングを行う「権益拡大」。

主義主張、信念を社会に訴える「主張者」。

金銭を得るために情報を窃取する「こそ泥」。

興味を持ったターゲットにつきまとい、監視する「ストーカー」。

実際には、これらの要素が複数入り混じっている場合が多い。



そして、ハッカーがその目的を達成するために使用する手段のひとつがコンピュータ・ウィルスである。



(続く)