【東京スタジオインターンシップ2期生】チームに最も必要なもの

こんにちは。
東京スタジオインターンシップ2期生プログラマー志望の小川博史です。

インターンシップの期間はあと1週間残っていますが、
チームメンバー全員での制作は完了し、
私のブログが東京スタジオインターンシップ2期生最後のブログになるので
プロジェクトの総括をお伝えしたいと思います。

それに際しては、前回の私のブログで取り上げた3つのテーマについて報告したいと思います。
前回取り上げた3つのテーマとは

■ 情報を共有する
■ お互いに補完しあう
■ 納得してゲームをつくる

でした。

では、上記のテーマについて一つずつ、何ができて何ができなかったのかを報告していき、
最後に総括としてまとめます。

情報を共有する

以前にも書きましたが情報を共有するのは大変なことです。

情報の共有に対しては、他のメンバーのブログで書かれているとおり、
下記のようなことを行いました。

■ゲームデザイナー不在のチームでしたが、仕様書を制作することに時間を割くことで、
 メンバーがいつでも最新の仕様の確認を取れるようにしました。

■仕様報告会議は、その部分の制作担当者とゲームデザインの担当者だけで
 行うのではなく、チーム全員で会議内容を共有し、
 メンバー間でゲーム全体の仕様を把握してもらうようにしました。

また、以前井上さんのブログにも登場しましたが、
プロジェクト終盤の残タスクの洗い出しも兼ねて、
吉川さんが付箋とコルクボードを使ったタスクリストを作ってくれました。

▲タスクリストの付箋。終わったタスクははがして行きます。

これは自分のタスクの消化が見えるだけでなく、
他のメンバーのタスクも視覚的にすぐわかるので、
「この人が辛そうだからちょっと自分がタスクをやろうか」というようなことも
考えられるという点が非常に有効だったと思います。

もともと吉川さんの提案の理由として
「エクセルだと見にくいからもっと気軽に見れるものを」ということであったのですが、
まさにその通りで、
情報を共有するためのものは情報を共有しやすいものである必要がある
と思いました。

お互いに補完し合う

今回の制作では短期制作ということもあり、
後半アーティストの作業が少なくなることを見越して、
アーティストとプログラマーの分業を図りました。

たとえば、ステージ設計担当者が指定した通りに、
アーティストが板ポリゴンをゲーム上での物体の形に切って、
それをプログラムで読み込み、切った形にそった衝突判定を作成することで上手く分業しました。
※衝突判定…プレイヤーと物がぶつかり、すりぬけない判定のこと

▲リアンティさんが描いた画像に合わせて、井ノ口さんと吉川さんがプレイヤーが
その物に当たる「境目」をかたどっていき、プログラムで実際に衝突判定に変換する。

また、エフェクトに関しては、
アーティストがFlash(2Dアニメーションを作りやすいツール)を使って作った動画ファイルを、
1枚ずつの画像ファイルで書き出して、
それをプログラマーがパラパラ漫画のように直接ゲーム画面に表示させることで、
アーティストが素材を作りやすい、なおかつ編集しやすい環境での体制にしました。

▲実装されたエフェクトの一部、花火

このように、
お互いの得意なところをそのまま発揮できるように
タスクを割り振る
ことで、メンバーの能力を最大限発揮できますし、
何よりそれぞれが高いモチベーションのまま作業できたと思います。

納得してゲームをつくる

今回のプロジェクトでは、企画に関する会議は極力全員で行うようにしました。

難しい企画だったので、企画からゲームルールを決めるのに時間がかかってしまい、
全員で会議をすることによって全員分の時間を割いてしまったのですが、
そこで決めたものはメンバー全員で考えて決めたことなので、
そのゲームルールに対してみんなそれぞれ納得できていたと思います。

そのことによって、実装はスムーズに行きましたし、
何より、メンバー全員が、それぞれの自分の担当箇所の実装途中に
仕様改善の意見を出しやすい
ということが大きかった気がします。

たとえば、井ノ口さんがブログで書かれているように、
制作の終盤、ボス戦の仕様をその担当者が決めて作っていきながら
並行して仕様担当者に確認してもらうという流れで実装できたのは、
「企画の根本部分を全員で考えて決めた」という土台が
あったからこそできたことだと思いました。

以上が、前述の3つのテーマに対する報告になります。

プロジェクト総括

今回の制作を振り返ってみると、
「ここをこうした方がよかったかもしれない」ということはあっても
「絶対こうした方が良かった」と言えることは少ないです。 

それは、その改善点として考えられることも、
気づかなかったから行わなかったことではなく、
判断して取捨選択したことだからです。

それを踏まえた上での反省点としては、
時間を明確に算出して判断基準にするなど、
判断において曖昧な点を少なくするべきだったことです。

たとえば、ステージ配置ツールを作ろうかどうしようか悩んだ時に
「ツール制作には時間がかかりそうだから、短期制作では必要ない」と判断しました。

しかし今になって考えてみると、その判断をする際に、
ツールを使った時の配置時間と、ツールを使わない時の配置時間+ツール制作時間を算段して
比較することが必要だったと思います。

そこは今後、課題として取り組んでいきたいと思います。

もう一つ反省点として、
制作の遅れが最後まで響いてしまったことがあげられます。

今回の制作は、仕様会議に時間を費やしすぎて1週間遅れた状態で実装がスタートし、
常に1週間遅れている状態で進んでしまい、結局、最後の方まで改善できませんでした。
α版、β版、マスター版での渡辺さんへの報告はいつも悔しさと辛さと申し訳なさでいっぱいでした。
▲報告は毎回頭が痛かったです。

それを払拭するために、毎日作業の効率化を考えて、
会議の仕方や進捗管理の方法など、発表の区切りごとに改善していきました。

その改善結果が、上記にあげた3つのテーマで書いていることだと思います。

今までやってこなかったことも積極的に取り入れ、色々なことを試行錯誤したことで
結果的に大分効率化を図れることができ、それによってなんとか作品を完成させることができました。

反省点も多くありますが、これほど充実して、楽しかった制作は今までありませんでした。

それはやはり、メンバーみんなが「自分たちは何をできるのか」を毎日真剣に考えながら、
全力で制作していたからだと思います。

だからこそ、私はメンバーを信頼し、安心して仕事を割り振ることができましたし、
真剣にぶつかり合うことができましたし、支え合って制作することができました。

そのおかげで、精神的には楽な状態で作業することができ、120%の力を出せていたと思います。

それらを踏まえると、結局チーム制作に一番必要なのは「信頼」なのではないかと強く感じました。
最初にあげた3つのテーマもそこに繋がったと思います。

・ 情報を共有する―ほかのメンバーの作業を知って信頼を高め
・ お互いに補完しあう―メンバーの能力を信じて頼り、仕事を分割していき
・ 納得してゲームを作る―信頼しているからこそプロジェクトに必要なことをお互いちゃんと言い合える

信頼はチーム全体がうまく回るようにする潤滑油だと思います。

そして、この東京スタジオインターンシップにはそれを感じさせてくれる仲間が集まり、
それを指導してくださる指導者の方がいらっしゃいました。

指導者の渡辺さんと田口さん、そして、インターンシップ生の仲間たち、
短い間でしたが本当にありがとうございました。

いつか、実際に販売される作品をつくった時に、
「あのインターンシップがあったからこそのこの作品だ」と言えるように、
少しでも恩返しできるように、頑張りたいと思います。

以上です。読んで頂きありがとうございました。
▲かけがえのない仲間達です。