「NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム3」では、様々な新しい演出表現を取り入れています。
今回はその中でも特に見た目のインパクトが強い「劇画調」、「色彩調」「水彩画タッチ」について作成の方法をご紹介いたします。
ミフネは今作、初の侍(サムライ)のキャラクターと言う事で、初めからモノクロ映画や、フィルムノイズを入れて「古めかしい」イメージで作成しようと考えました。
以下、作成の流れになります。
①文字コンテ
まずは、奥義のイメージを文字のみで書きます。
この時点でコンセプト欄に「モノクロ映画描写」と書かれています。
文字コンテの作成者以外にも奥義のシーンのイメージが伝わるように、表現したい内容を具体的に分かりやすく書きます。
②画コンテ
次に画コンテを作成します。
ここで奥義の演出の流れ、表現したいイメージなどを絵と文字で示しておきます。
この画コンテの段階で、アウトラインやキャラクターの輪郭に入る影などを太く、濃くして墨のような表現を出そうと決めました。
③3Dシーン作成
ここから演出シーンの作成に入ります。
まずは、キャラクター、カメラアニメーションを3ds Max上で作り、演出の流れを組みます。
画面1のような見た目まで作成しました。
この状態では、まだコンセプトの「古めかしい」イメージや画コンテのイメージからはかけ離れているので、次に絵づくりをしていきます。
まず初めに、和の雰囲気を出すために和紙を使ったような専用の背景に置き換えました。
実際にはめ込むとこんな感じです。
これだけでも「古めかしい」イメージが出てきました。
ただ、このままだと背景に比べてキャラクターが浮いて見えるので、次にキャラクターの調整を行います。
「古めかしい」イメージを出すために、キャラクターはセルシェードではなく2Dアニメのような墨のイメージで和の雰囲気を出すことにしました。
手法としては、ミフネの顔に墨絵のようなマスクを作り、かぶせました。
手間はかかりますが、このやり方であれば一番イメージ通りの見た目に近づけることができると思い、採用しました。
実際のマスクモデルは下記のような感じです。
マスクをかぶせて、更に影の色味などを調整した画面です。
合わせて全体的な統一感を出すためにエフェクトなどもすべて墨の質感で作成しました。
3ds Max上での作業はここで終わりです。
④ゲーム画面でのポストエフェクトの調整
次はゲーム画面上での見た目の調整を行います。
3ds Max上で作った映像をゲームに表示した画面です。
イメージ通りに近づいてきましたが、このままでは文字コンテにあった「モノクロ映画描写」にはなっていませんので画面全体にかけるポストエフェクトを追加していきます。
◆ポストエフェクトとは?
ポストエフェクトとは、描画された画像に対して、画面全体にかけるエフェクトのことです。
画像をぼかしたり、色を反転させたり様々なエフェクトがあります。
画面をモノクロへと変えるのに加えて、劣化したフィルムノイズのような効果が欲しかったので画面全体にノイズも入れました。
こうして完成したのが以下の動画です。
元の動画と比較してご覧ください。
と言う感じで、アニメーションは同じですが、表現したいイメージをを突き詰めるだけで、こんなに見た目が変わってくるのです。
今作にも、原作ドラマで非常に感動する場面がいくつもあります。
その場面を再現するために、心に残るような印象的な絵づくりが必要となりました。
以下に説明するような過程を経て「印象的な絵づくり」を行いました。
まずはイメージを固める為に、画像編集ツールのAdobe Photoshopでタッチの違う画像を何パターンか作成します。
ここで印象が一番良かった「③水彩画タッチ」の見た目で作成することを決めました。
今回は「カカシ VS 再不斬」戦で、再不斬が白を斬るシーンで説明します。
まずは前述のミフネの奥義のときと同じように3ds Max上でアニメーションを作成します。
ここから水彩画タッチをイメージに、画面を印象づけるため画面に光が入ってくるような入射光や陰影をオブジェクトとして追加していきます。
キャラクターが黒く汚れているように見えますが、ゲーム画面上では全く違った見た目になります。後のゲーム画面でご確認ください。
エフェクトも、イメージに合うように水彩画で書いたような筆の質感のものを配置していきます。
そしてこれがゲーム上に出した画面になります。
これだけですごく印象が変わったと思いませんか?
しかしこれではまだイメージとかけ離れているので、水彩画のような色むらを出すために画面をわざと汚すようなフィルターを薄く重ねます。
ミフネの奥義のときと同じくゲーム画面上で、印象を強くするためにコントラストや色味、ブラーなどをポストエフェクトで重ねていきます。
そして完成したのがこの画面です。
印象的なシーンになりましたね。
ではここで実際のシーンを動画でどうぞ。
今回の「NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム3」では奥義だけではなく、ボスバトル中のインタラクティブアクションにも何度見ても飽きさせない様々な表現がたくさん盛り込まれています。
一回だけではなく、遊んで頂くたびに新しい発見があると思いますので、ぜひ末長く楽しんでください!
■ティザー
■第二弾
■第三弾
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