今作『NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム3』で特に目を引くバトルの一つに、新規プレイアブルキャラとして追加された「人柱力による尾獣化バトル!!」が挙げられます。
皆様もう遊んでいただけましたか?

原作で戦闘描写があまり多くない尾獣の戦闘モーションが、一体どのようにして生み出されたのか、ゲームで遊ぶことができるようになるまでの制作の過程を、四尾「孫悟空」を例に簡単にご紹介します!

まずゲームデザイナーがキャラクターごとにコンセプトを作成します。
コンセプトとは、キャラクターの原作でのイメージやキャラ性など、ゲームにおけるキャラクターの大まかな位置付けのことです。

▲図①:ゲームデザイナーが実際に作成した四尾「孫悟空」のコンセプト

このようにコンセプトとは、大まかな指針であり、特徴をつけて他キャラとの差別化をし、ゲーム全体のバランスを図るために非常に重要なものです。しかし、もちろんこれだけではゲームを開発する情報としては足りません。
→アーティストがイメージを膨らませて補完する必要があります!

コンセプトの次は、原作に登場しているシーンや画集「NARUTO-ナルト-イラスト集」に載っている「尾獣絵巻開封」などを参考にして、ゲームを開発するために必要な情報をさらに集めていきます。

▲図②:四尾「孫悟空」のマインドマップ

第一段階として、原作やアニメから得られる情報をまとめていきます。
・モチーフは大猿・孫悟空
・口から溶岩を吐く攻撃を入れる
・手のひらで激しくたたきつけるような攻撃

さらにここから膨らませて
・ゴリラや化け猿をモチーフにしているので、実際の猿やゴリラの動きをいれたい
・力強さに加えて、回転する動きをいれて猿のような身軽さも表現する
・前足を基点にしてダイナミックに力強く動かしたい!

というように動きのイメージをどんどん膨らませていき、1体のプレイアブルキャラクターの動きを考えるために必要な情報をそろえていきます。

集めた情報を元に考え出された動きのイメージやアイディアを、絵コンテに起こしていきます。

引っ掻くような攻撃や上半身をひねって荒々しく地面にたたきつけるなど、実際の猿やゴリラの動きを参考に攻撃モーションを考えます。<図③>

▲図③:アイディアを絵コンテに起こす

また、原作で印象的なポーズはできる限りコンボ中に取り入れ、当初のコンセプトや原作での表現と違和感が出ないように攻撃や演出の制作を行います。
例えば、ゲームを遊んでいて特に目に付きやすいニュートラルポーズや覚醒カットイン演出では、極力原作を忠実に再現することで、ユーザー様がゲームを遊んだ際に原作の印象が残るように工夫をしています。
参考例として、ニュートラルポーズは画集「NARUTO-ナルト-イラスト集」のP98のポーズを、覚醒カットインは原作コミックス巻ノ六十のP41のポーズを参考にしています。<図④>

◆ニュートラルポーズとは?
すべてのモーションの中心となるポーズで、ユーザーが無操作(無入力)の状態のポーズのこと。

▲図④:四尾「孫悟空」のニュートラルポーズと覚醒カットインの絵コンテ


絵コンテで決定したモーションをDCCツールで制作していきます。コンセプトに基づいたイメージをポーズに落とし込み、それを補完する形で動きを作っていきます。

特に尾獣は全長が3m~5mと通常のキャラクターに比べるとかなり巨大なキャラクターであるため、小さい動きにすると何をしているのかわかりにくくなってしまいます。
それを防ぐために、ヒット前の溜めポーズや攻撃後の余韻の部分はなるべく目に残るように尺を長めにとり、キャラクター性が見える特徴的なポーズをつけます。これらに気をつけて制作することで、巨大なキャラクターでもわかりやすい動きが表現できます。

◆DCCツールとは?
ゲームなどのデジタルコンテンツを作るために使用するソフトウェアのこと。

▲図⑤:図③絵コンテのコンボ02からキーポーズを制作していく

上記<図⑤>は<図③>で制作した絵コンテを元にキーポーズと中割を作成したものです。
9~12fにかけて攻撃前の力を「溜め」ているポーズと、14fの攻撃後の腕を振り切った余韻「フォロー」ポーズをしっかり見せることで、動きをわかりやすく見せると同時に、「孫悟空」の『力強くパワー系』というコンセプトに沿った重量感のある動きが表現できます。

下記の動画が実際に制作した動きの一部を抜粋したものです。

図⑥:キーポーズを補完したモーション

図⑦:その他尾獣のモーション

上記の動画を見ると、原作のイメージを大切にした攻撃が考えられており、何の動作をしているのかわかりやすく表現されているこだわりのモーションであることが良く分かります。<図⑦>


コンセプト作成~制作までの過程を経て、ようやく実際にゲーム上で操作できるようになります。<図⑧>

▲図⑧:ゲーム上で操作できるようになる


「ストーム3」では覚醒時に尾獣をはじめとした多くの巨大なキャラクターが出てきますが、より遊びやすく臨場感を感じられるようにゲーム中のカメラにも一工夫が施されています。

図⑨の左図は覚醒する前、右図は覚醒した後のカメラ画面です。
よく比べて見ると分かりますが、カメラの位置が遠くに変化しています。
そのままのカメラ位置では、画面を巨大なキャラクターが覆ってしまい、操作がしづらく遊びにくくなってしまうためです。<図⑨>

▲図⑨:覚醒前と覚醒後でカメラが変化している


このようにキャラクターのイメージを壊さないように、些細な部分までこだわりぬいて尾獣たちの動きは作られています。よく観察してみると面白い動きがたくさん盛り込まれていますので、コンボ一つ一つにも注目しながら是非ゲームを遊んでみてください!



■ティザー



■第二弾



■第三弾


「ナルティメット」シリーズ最新作!
アニメを自分で動かしているかのような美しいグラフィックで描かれる忍道対戦アクション。
ナルトをはじめとした個性あふれるキャラクターたちの中から好きなキャラクターを選択し、忍術や奥義をタイミングよく繰り出しながら戦闘を進めていきます。
本作の登場キャラクターはシリーズ最多の100忍に到達。本作ならではの合­体奥義や原作者岸本斉史先生にかきおろしの新キャラクターも登場します。

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