皆様こんにちは。
サウンドプログラマーの西田慎祐です。
「ASURA’S WRATH」では、
ゲームエンジンのサウンド機能のカスタマイズ、スクリプトのサウンド周りのカスタマイズ、
映像演出などの音入れ作業、などで発生していたバグの修正作業を主に行っていました。
言ってみれば「サウンドの虫とり屋さん」的な感じで開発に携わっておりました。
バグ修正は現実の虫とりと同じで、発生頻度が低いものほど難易度が高く、
捕獲するのが難しいのですが、
中には例外もあって、毎回発生するのに尻尾をつかませない厄介なものもあります。
特にサウンド系のバグは、目に見えないので、分かりづらいモノが多く、
実際に通してプレイして聞いてみないと正常に動作しているか分らないものが多々あります。
そんな中チェックしてちょっと印象に残っているバグをいくつか挙げてみます。
1.バイリンガルアスラ!
日本語音声でゲームを起動した時のバトル中のアスラの声が、
英語音声で再生されるという珍しいバグ。
デモ演出中は日本語で、バトル中は英語で喋るという、
バイリンガルなアスラを拝むことができるバグでした。
2.影法師さん!?今英語音声で起動中です!
影法師さんが、英語音声でゲームを起動しているにも関わらず、
攻撃をする時に「滅法!」などと日本語で喋っていたバグです。
ただこの時期、浮遊している玉のSE音量がやたら大きく、
滅法の「めっ・・・」しか聞こえていなかったので、
全体的にかわいそうな影法師さんを拝むことができるバグでした。
3.今後語り継がれるであろう、爆音バグ
LSボタン、RSボタンの表示は、消える度に消える時のSEが再生されるのですが、
このシーンでは入力成功すると、
全てのボタンの表示が同じタイミングで一気に消えるわけです。
そして、そのとき発するSEが、一気に耳の奥で弾けるわけです。
その音量は、ヘッドフォンをしてチェックしていた社員の方が、ビクっとなり、
その拍子に椅子から若干浮くという現象を目撃できるほどの爆音でした。
社員の皆様を拝まなければならない(要するに謝る)バグでした。
懐かしいものですが、実はこのようなバグ修正よりさらに労力使うのが、
字幕と音声の不一致チェックなのですよね。これはもう字幕と音声の数によるので、
多ければ多いほど大変です。
さらに多言語対応となると、ヒーっとなるわけです。
というように、ユーザーの皆さんにはほとんど意識されることがない(されてはいけない)
音にまつわるデバッグ作業のご紹介でした。
一つのゲーム作品が作り上げられるまでには、影でこのような地味だけれども
大切な作業をしているのです。
この一つ一つの作業が皆さんの“楽しい”につながっていれば嬉しく思います。
それでは皆様ごきげんよう!