PS3&Xbox 360『ASURA'S WRATH アスラズ ラース』 サイバーコネクトツー公式サイト

スタッフブログ第10話「その男、”生意気”につき。」

その男がウチに入社してすぐ。

配属されたのは『.hack//G.U.』チームでした。

その時はちょうど『Vol.1』の開発を開始して、まだ間もない頃。

他の新人同様に、色んなことを覚えながら、教わりながら、
いちグラフィックデザイナーとして。

コツコツと努力を積み重ねる日々でした。

最初は。

途中からですね。

“異変”が起きたのは。

当時の『.hack//G.U.』は私がディレクターを務めてましたので、
たくさんの要素を様々な部門・部署でチェックしていました。
その男が担当していた“エフェクト・必殺技演出”のパートも
最終的なチェック・判断は私が行っていました。

ゲームソフトのディレクションを行う際には、当然ですが全体を見ます。
一部分だけ、良く出来ていてもしょうがない。
そして全ての部分で同時に100点満点も取れない。
タイトルのコンセプトにもよりますが

“うーん、できればこの部分はもう少しクオリティを
上げたいところだけど全体のバランスとスケジュールを
考えるとこれでOKを出さないと次にいけないな。
まあ、この部分がこのタイトルのキモというわけでも
ないし。”

なんてことも考えるわけですよ。

ましてや“その時”判断したパートは、“引き継ぎ要素”も絡んだ部分でした。

“あのね。この部分は大半のお客様が見ないと思うし、
結果的にそうならない部分だから割愛しよう。
たぶん見る人がいたとしても1000人に一人だから。
ここよりも、もっと優先させなきゃいけない部分があるよ。”

と指示をしたことを覚えています。

そして、数週間が経過して。

私は東京出張から福岡に戻り。

自分の仕事をするために(日曜日でしたが)会社に行くと。

その男は自分の机で作業をしていました。

チラリと、画面を見ると“知らない画面”が。

“!?”

何の作業をやってるんだ!?と思い、声をかけると、
先日“やらなくていい”と伝えたパートを新規制作しているとのこと。

お前は何をやってるんだ!?と伝えると。

“次の作業は既に進行しているし、遅れも出さない。
そして誰にも迷惑をかけるつもりもないから
ほっといてくれ。”
と。

……実に生意気なヤツだ。

お前は何のために、誰のために
“その作業”をやってるんだ?
と聞くと。

“1000人に一人のお客様のためですよ。”、と。

……思えば、“この時”から決まっていたのかもしれない。

そして、その男は『.hack//G.U.』全三巻の開発を終え、
『NARUTO-ナルト- ナルティメットストーム』の開発を経て、
本作『ASURA’S WRATH』のディレクターに大抜擢される。

まあ、決めたのは私ですが。

決めさせたのは、その男ですね。

男の名は、下田星児。

わがままな会社・サイバーコネクトツーで最もわがままな男。

プロジェクトを立ち上げる時に私に向かって
”今回、お前はすっ込んでろ”と宣言してきた男。

サイバーコネクトツーで最も生意気な男。

そんな男が”漢”を通して作りあげた作品
『ASURA’S WRATH』。

いよいよ、明日。

世界中で発売となる。

よし、いっちょ、ブッ放してやれ。

いいな、下田よ。

(松山 洋)