松山洋の「ある若者の物語」
こんにちは!たっしーです。
以前、ぴろし社長がTwitterで複数にわたってつぶやいていた
「ある若者の物語」をブログにまとめました!
【ある若者の物語①】今から数年前の話。私のフェイスブックに友達申請が届いた。どうやら学生のようだった。ゲーム業界を志望している学生のようだったので、“まあ、いいか”くらいの感覚で承認した。それから数日たって、私のタイムラインにその若者のコメントが。
— 松山洋@サイバーコネクトツー (@PIROSHI_CC2) 2014, 5月 29
見逃していた方はぜひご覧ください。
特にゲーム業界を目指している学生の方に読んでいただきたいです!
それではどうぞ。
ある若者の物語
今から数年前の話。
私のFacebookに友達申請が届いた。どうやら学生のようだった。
ゲーム業界を志望している学生のようだったので、
“まあ、いいか”くらいの感覚で承認した。
それから数日たって、私のタイムラインにその若者のコメントが。
*
そこには
『自分の夢はゲームクリエイター。絶対になる。
そしていつか松山さんに会ってみたい。』
なんてことが書かれてました。
どうやらHAL東京の学生のようだ。
せっかくなので
『その夢のひとつを叶えようよ。東京スタジオに遊びにおいで』
と私から伝えました。
*
もちろん本人は驚きのコメントと共に、
『ぜひ!よろしくお願いいたします。』と返してきたのでそれから日時を決めた。
違和感を感じ始めたのはその時から。
まず、彼は、東京スタジオに来るその日に自分一人ではなく二人でやってきた。
*
『あれ?一人じゃないの?』って私が聞くと彼はこう答えた。
『今回の訪問は特別で普通じゃないことだと思っています。
そんなことを自分だけが体験してはいけない。
せっかくなので学友にも体験させてあげたいと考えました。』と。
*
もちろん駄目じゃないし、全然構わないので、そのまま会社見学をした後に、
一時間ほど質疑応答や雑談を二人としました。
その中でわかったこと。
彼は学生時代に「.hack//」と出会ってゲームにドはまりしたのだと言う。
*
徹夜するほど「.hack//」を遊んで、感銘を受けてくれたのだと。
そしてそれがきっかけでゲーム業界を目指すようになったのだと。
なるほど。実はこういう学生さんは(ありがたいことに)結構多い。
しかし、そのほとんどの人が夢を途中で諦める。
*
ゲームクリエイターになるということ。
中でもゲームデザイナーとして新卒として就職することの難しさは
業界の人や、志望経験者であればわかると思います。
本当に難しいのです。
現在、現場で企画をやっている人間の多くが最初はバイトがきっかけだったりもする。
*
企業は新卒と中途だったら、やはり中途を選ぶ。
即戦力が求められるのだ。
“新卒と中途、どちらかを雇うとしたらどっち?”と聞かれると
多くの企業が中途を選択してしまう。
経験者を選ぶ。
そんな環境の中で“選ばれる新卒”になることは本当に難しい。
*
その時は“その彼”も多くの業界を目指す人間のひとり。
そして2度と会うこともないかもしれない一人。
私自身のちょっとした気まぐれで、
そのひとの“良いきっかけ”を与えられればいいな、くらいの気持ち。
普段から実はこういうことはちょこちょこやったりしてる。
*
しかし。残念ながらほとんどの方が二度と会うことがない。
『彼はどっちになるんだろう。』
東京スタジオから帰る彼らを見ながらそんなことを考えていました。
それから時間が経ち。数年後に彼と再開した。
サイバーコネクトツーの会社説明会だ。
*
もちろん覚えてる。
挨拶してきた彼に『おー、久しぶり』と話すと、
『卒業するのは数年後ですが勉強の為に説明会に参加しました』という。
まあ、ウチの説明会はいつ聞いても勉強になるからね、頑張れよ。と伝えて別れた。
*
それから。
彼は毎年サイバーコネクトツーの会社説明会IN東京に参加していた。
まあ、説明会なんて参加したからといって合格できるわけでもない。
受ける回数も関係ない。
ウチの評価基準は“能力”だ。
偽物じゃあない、本物の“能力”が求められる。
*
ある日。
ウチの人事担当が二次面接の書類を回してきた。
そこには彼の姿があった。
ウチの採用の流れは“①書類審査→②一次面接→③二次面接”となっている。
正直に言うが、ハードルは高い。
①と②は私ではなく開発の現場のリーダー達が行う。
*
このリーダー達の目が本当に厳しい。
『お前ら、本当に雇う気があるのか?早く俺のとこ(二次面接)まで上げろ!』と
普段から言ってるくらい。
それでもリーダー達は
『未熟すぎる人間を入れても苦労するのは我々ですから』
なんて返してくる。
生意気だ。
*
『バッキャロー、それを引っ張り上げるのがお前らの役目だろうが!』
『いやいやそれにも“資格・条件”がいるんすよ、
いいから二次までは黙っててください』
『あのなー!……以下略』
そんなやりとりの日々。
だから、なのか。
*
私が二次面接を行う人間は(中途も)新卒もだいたい合格する。
非常に高いハードルを越えてきているので当然といえば当然か。
そんなハードルを越えてついに、彼が私の前に現れた。
もちろんスーツを着て。数年前の面影はあるもののちょっと大人びてる。
*
最初に伝えたのは『とうとう来たな』でした。
すると彼は『はい。12年かかりました。』と。
『???12年?』いや、そんなに経ってないだろ?どういうこと?と尋ねると
『はい、僕が「.hack//」を夢中になって遊んで徹夜して
感動したあの夜からです。』
*
今日、彼は、面接の最中に“合格”した。
普段なかなかこういうことはないのだが、たまに『もう、いいや』って
私が思ったらその場で『合格!』って伝えることがある。
まあ、久しぶりでしたが。
いずれにせよ、結果は、合格。
*
一応、言っておきますが。本人にも面接の最中に伝えたので。
彼の能力は平均的で中の上。
一番の評価ポイントはコミュニケーション能力。
相手のかすかなサインを見逃さずに納得のいくまで議論を重ねること。
もちろんこれから沢山の努力も勉強も必要だ。
*
面接中のたくさんの対話の中で私が一番印象に残った言葉はこれ。
『僕には4つ下の弟がいます。
弟と色んな話をします。もちろん友達ともしますが。
弟とは今までも何でも話してきました。
普段見ている漫画や週刊少年ジャンプのことやゲームのこと。』
*
『最近夢中になっていることなんかも。今だって一緒にお風呂に入ります。』
それを受けて『へー、仲良いねえ』と伝えると
『はい、自慢の弟です!』と答えました。
たぶん、この時かな。
『あ、こいつとなら一緒に闘って死ねる』
と思いました。
*
彼の名前は角谷勇斗。
来年(2015年)の春からサイバーコネクトツーのゲームデザイナーになります。
近い将来、彼と一緒に生み出し作り上げたタイトルが皆さんの前に現れます。
その日までお楽しみに。
そんな、彼の“物語”でした。
おしまい。
松山洋、Twitterやってます
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