めそ 様

「ドットハック セカイの向こうに」
宝石のような映像世界でした。
映画です。
バイオリンの冴えて明るく暖かみのある音が、シンクロできる緑など、初めて見ました。
樹も独特。独特な造形は、独自の世界と感覚をつくります。
現実と『THE WORLD』の、差。
差、が、ネットゲーム世界をより印象深く愕然としたものにしました。
眼を、見開いてしまいます。
こんな、こんなもの、こんなもの、よくつくる。こんなもの、つくれるものなのか。
見渡す家の一軒一軒が、一軒一軒なのでした。
柵から街灯まで、そこからたなびく短冊まで、物と言う物が意思の通ったデザインのように思われます。
これは、これはとても新しい感覚です。実物と見分けのつかないCG技術のふんだんに入った実写映画と違い、世界が、世界なのですから。
現実の質感を表現しきっているのではなく、幻想風景の空気感を、表現しきっているのです。
真っ白く淡いベェルの空気が、そこらじゅうに満ちてこちらまで届きます。なんて色彩をするのでしょう。
特にアウラの聖域です。透明な白と薄墨の帯に混じった青と紫は、夢色です。移ろう色を帯びながら、流線が揺らめいて自由な気流となって蒸発する様は、不思議に、不思議に思いました。

 それはそうと、自分は脚本家の伊藤和典さんのファンで、作品を拝見するのは、絶対少年以来です。かけあいにある独特の調子が味で、この作品でも、そんなやりとりを幾つか見つけては、歓喜しました。彼の書くキャラクターは、魅力あるのに、決して符号にはならないのです。ゆえに伊藤和典さんの物語は、物語になるのです。彼なしに「.hack」なしとすら思っています。また見たいです。