第三章 18話「シャナンの涙」

カテゴリー: ストーリー, 第三章
「ギルティドラゴン」開発ブログ
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この霊廟も行ってみたかったんですよ
悲しい伝説の痕跡のひとつですからね

詳しいな、調べたのか?

ええ、イリアが好きそうな伝説や場所はチェック済みですから

ありがとう、お兄ちゃん……

イリアは相変わらずのお兄ちゃんっ子なのだ~

そう……かな……

むしろ、アロンの方がベッタリに見えるぞ

そう……ですね……

コクリ

 
◆ ◆ ◆
 

このシャナン霊廟のことを少し教えてもらえないか?

ええ、女神と人間の悲しい恋の物語ですよ

女神シャナンと、狩人の男がこの森で出会い恋に落ちますが、その恋は許されない恋……

その行いを知った神々は、シャナンから神の力を奪い、人に転生させたんです――

それだけなら良かったのですが、神々はこの
地を激流によって大陸から寸断し――

狩人の男からは名と自由を、その他の者からは、この男に関する記憶を奪ったんです

もちろん、シャナンの記憶からも、この男の記憶のほとんどが消え去ったそうです

無慈悲……やることが徹底的なのだ~

ですよね……それで、その後――

待った……
この先に誰かいそうな感じがするぜ

待ち伏せか……まったく、無粋な奴らだ

 
◆ ◆ ◆
 

ひぇ~!
おたすけぇ!

やれやれ、待ち伏せの質が落ちてきてるな
色々な意味で

おごそかなこの場所で襲ってくるなんて、罰あたりにも程がありますね……

お兄ちゃん、大丈夫……?

うん、イリアも大丈夫そうだね、良かった

コクコク

 
◆ ◆ ◆
 

それで、伝説の続きとやらはどうなったんだ?

はい、狩人の記憶と神の力を失ったシャナンの話には続きがありまして……

彼女は、この地に取り残されたわずかな人々のために集落をまとめ、尽力したそうです

その集落はシャナンへ感謝の気持ちをこめ、シャナ・リドと名付けられたということです

その後、人として亡くなったシャナンはここに祀られた、という事なのね~

ええ、その通りです

ソノ後、シャナンはコノ地の守護者として今も見守りつづけているのデス……

あら、どうしたのよ突然……

本来、ワタクシが説明する役割なのデスがライバルが次々と現れ、必死なのデス!

はいはい……

何だか、悪い事をしちゃったかな
ゴメンね、おチビさん?

イケメンは、許しマス……

!?

ナビコのくせに、色気づいちゃって……

お兄ちゃんを、とっちゃ……ダメ

こんなチビにまで焼きもちとは、健気すぎるのだ~

ワタクシ、みなさま全てのナビコですノデ
特定の彼氏は必要ございマセン……

あえていうなら、マスターLOVEデス
ご安心クダサイ

テレテレ……

 
◆ ◆ ◆
 

チッ……わざわざこんな辺境まで来て、無様なもんだぜ

こいつも正雪じゃねぇみたいだな

へっ、あいつもこの近くには来てるんじゃねぇか?
ここに入る前に見たからな

では、彼はこの霊廟にはいない、と?

ああ、ヤツとはここに入る前に別れた……
それくらいしか知らんよ

じゃあな、負けた以上、関わっても面倒なだけだ、あばよ

 
(タッタッタ……)
 

まぁ、今は正雪よりここでやるべき事を終わらせようか

コクリ

 
◆ ◆ ◆
 

正雪がここにいないとなると、彼の目的が
何なのか、気になるところですね……

彼が広めた噂につられた者達が、首尾よく宝剣とカンザシを手に入れるのを、どこかで待っている――というところでしょうけど

どこで待っているのか、それが問題ですわね

コクリ

また襲撃者があらわれたら、そこの情報を聞き出してみるか……

勝つのは当たり前、なんですね
流石です

ニヤリ

 
◆ ◆ ◆
 

……何者、ですか……
私の眠りを……そして、心を乱す者は……

今の声、聞こえましたか……?

むむ、聞こえたのだ……
奥の方から……

でも……怖くはなかったよ……
怖くないけど、ちょっと悲しい感じ……

もう少しで辿り着けそうだな

コクリ

 
◆ ◆ ◆
 

やっと来たか、待ちくたびれたぜ……

この人も、みなさんを狙っている者ですか?

まぁ、そうだろうな……

悪い事は言わん、我々に拳を上げるのなら
相応の覚悟をしてもらうぞ

大げさだな、せっかく待ってたんだ
ちょっとくらい付き合ってくれよ

へへっ、そうこなくちゃ、だぜ!

 
◆ ◆ ◆
 

負けちまったか、とんだ待ち損だぜ……

それで、正雪はいったいどこなんだ?

我々からアイテムを奪ったら会う予定だった
んじゃないのか?

まぁな、ヤツとは「不浄の戒塔」で会う
約束だったぜ……うまくいけばの話だが

必要最低限の労力で手に入れるつもりだった
ようですわね……

これ以上関わってもロクな事にならなさそう
だし、俺は消えるかな……

じゃあ私たちは、さっそくシャナンとご対面
といきましょうか!

う、うん……

コクリ

 

 

ここが、最奥のようだな
……棺の様なものもあるぞ

まさか起き上ってくるんじゃあ……

えっ……!?

大丈夫だと思うよ、ほら……

棺の上に、光る人影の様なものが
浮かびあがってきましたわ……

あぁ……
何かとても懐かしい暖かさを感じます……

シャナン……なのか?

はい……今は魂のみとなり、神々との約束に
従い、この地に留まり続ける者です……

あっ……あんたの持ってるカンザシが
光ってるみたい!

!!

それから懐かしい暖かさを感じます……
ですが、それが何かは、思い出せない……

やっぱり伝説の通り、狩人の記憶は消されて
いるみたいですね……

でも……心のどこかで、覚えてるみたい……

カンザシに託された想いが、届いてるのかも
しれないな

あぁ……思い出せないけれどその想いが……
彼の想いが伝わってきます……

私がかつて犯したという禁忌で、未だ贖罪の
想いに囚われているのですね……

好きだったのに、思い出せないなんて……
かわいそう……

神よ……彼をお許しください

あ……シャナンの涙が結晶になった……

!!

あなたから神より授かりし宝の気配を
感じます……

どうぞこちらへ……

宝剣のことよね、たぶん……

コクリ……

旅人よ……私の想いを神に伝えて下さい

さっきの結晶が、剣に吸い込まれた……

我々の想いを込めた二つの品を
「不浄の戒塔」へ納めて下さい……

そして、神々に伝えて下さい……
我々の想いを……――

 
(スウッ……)
 

あっ……
シャナンの姿が消えてしまいましたね

「不浄の戒塔」へ至る道が開かれたようです
わね

コクリ

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